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2011年10月28日

従業員の退職 退職後の競業避止義務

労働者は、労働契約の存続中(在職中)は、一般的には、個別の合意や就業規則上の規定がなくても、信義則にもとづいて競業避止義務を負うと解されています。就業規則に競業避止義務や兼職に関する規定をおいている企業も多いと思います。

 

退職後や解雇後など労働契約の終了後も競業避止義務を負わせられるかどうかは、問題です。

労働者には、他方で、職業選択の自由(憲法第22条)があり、経済的弱者である労働者にとって、生計の道を奪われることになりかねないからです。

少なくとも競業避止義務を負わせるには、特別の根拠や約定が必要です。そして、その内容も、必要性が認められ、合理的な範囲内に限定されていなければなりません。

 

退職後の従業員に対して競業行為の差止めを認めた判例(フォセコ・ジャパン事件、奈良地裁昭和45年10月23日判決)があります。

「被用者は、雇用中、種々の経験により、多くの知識・技能を習得することがあるが、これらが当時の同一業種の営業において普遍的なものである場合、即ち、被用者が他の使用者のもとにあっても同様に修得できるであろう一般的知識・技能を獲得したにとどまる場合には、それらは被用者の一種の主観的財産を構成するのであってそのような知識・技能は被用者は雇用終了後大いにこれを活用して差しつかえなく、これを禁ずることは単純な競争の制限に他ならず被用者の職業選択の自由を不当に制限するものであって公序良俗に反するというべきである。」

「当該使用者のみが有する特殊な知識は使用者にとり一種の客観的財産であり、他人に譲渡しうる価値を有する点において右に述べた一般的知識・技能と全く性質を異にするものであり、これらはいわゆる営業上の秘密として営業の自由とならんで共に保護されるべき法益というべいうべく、そのため一定の範囲において被用者の競業を禁ずる特約を結ぶことは十分合理性があるものと言うべきである。」

 

退職する従業員に退職後も競業避止義務を負わせられる場合は限られますので、注意してください。


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