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2011年12月28日

土壌汚染リスクは常識に

今月6日、土壌汚染のセミナーに出て、大阪府や大阪市の状況を知ることができました。土壌汚染対策法ができて8年以上、同法の対象になった事例は、私が予想していた以上に多く集積してきていました。

 

土壌汚染の状況を調査する義務が生じる場合のひとつに、水質汚濁防止法に規定する特定有害物質を使用する特定施設が廃止された場合、があります(土壌汚染対策法3条)。具体的によくあるのは、酸・アルカリ表面処理施設、電気めっき施設、洗たく業洗浄施設、がこのような特定施設にあたります。大阪府でいうと、すでに100件以上、このような廃止事例があるそうです。

廃止の場合には原則として土壌汚染の状況調査の義務が生じるのですが、例外的に、廃止後の土地利用方法からみて「人の健康に係る被害が生ずるおそれがない」ことを都道府県知事から確認されたときは、調査が猶予してもらえます(同法3条1項但書)。具体的には、引き続き同じ土地所有者が従前と同様に工場敷地として利用する場合がこれにあたります(土壌汚染対策法施行規則16条)。実際には、ほとんどの廃止事例がこれに該当して、調査を猶予されているのが実情とわかりました。

 

ただ、土地取引を考えた場合に恐ろしいなぁと思ったのは、このような土地を知らずに買ってしまう危険です。特定施設廃止後の、土壌汚染対策法3条の汚染状況調査義務を負いながら調査を猶予されている土地の所有権を承継(買受けのほか、相続や合併も含まれます)した場合は、あらたな土地所有者がこの汚染状況調査義務を引き継いで負うことになるからです(同施行規則16条3項)。

このような調査義務の存在は、登記簿などで知ることはできず、当該土地を管轄する自治体の土壌汚染担当部局に問い合わせるなどして知るしかありません。実際には、売主や仲介業者が説明してくれて、知らずに買ってしまうことは少ないかもしれませんが、大阪府の担当の方によると、そのような問い合わせを土地取引の当事者から受けることもよくあるそうです。

 

土壌汚染リスクは今や、土地取引の場合に当然に想定すべき常識になったように思います。工場跡地などを購入される場合は、土地の登記簿だけでなく、建物の登記簿や具体的な過去の使用履歴などをよく調べ、売主との間で土壌汚染リスクについて確認しておかれるのが良いと思います。


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