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2012年1月31日

従業員の懲戒

ほとんどの会社の就業規則には「懲戒」の規定があると思います。

 懲戒処分は文字通り、懲「罰」なので、労使関係も独立対等な契約当事者の関係のはずなのに、何故、支配服従関係のような「罰」を与える権利が使用者に認められるのでしょうか。

判例の考えは、労働者は労働契約を締結したことによって企業秩序遵守義務を負い、使用者は労働者の企業秩序違反行為に対して制裁罰として懲戒を科すことができる、というものです。

そして、その懲罰的性格から、罪刑法定主義類似の原則が妥当すべきとされ、懲戒処分が有効とされるには、以下の3つの要件を必要としています。

〇懲戒処分の根拠規定の存在

:懲戒の理由となる事由(服務規律違反など)とこれに対する懲戒の種類・程度を就業規則に明記

しておく必要があります。

〇懲戒事由への該当性(客観的に合理的な理由)

:懲戒事由の規定はそれ自体抽象的なものが多い(「非違行為」など)ので、問題にする労働者の

具体的行為が適用される懲戒事由に該当するか否かを判断するについて、その行為の態様や

性質に照らし、客観的に合理的な理由があると認められなければなりません。

〇(社会通念上)相当性

:適用される懲戒処分が、当該問題行為の性質・態様や被処分者の勤務歴などの情状に照らし

て、社会通念上も相当なものでなければなりません。

 

例えば、もっとも軽い「けん責(始末書)」「戒告」でも、問題の行為が就業規則の服務規律規定のどれかに具体的に違反する行為であることが必要になります。

従業員が常時10人未満で労働基準法に基づく就業規則の作成・届出をしていない場合も、懲戒を行うには、労働基準法に則った就業規則を作成し、労働者に周知しておく必要があります(労働契約法7条参照)。

また、就業規則とは別に従業員の守るべき規律を諸規定にしている場合、同規定違反を理由に懲戒するには、その内容を服務規律として就業規則上に明記する必要があります。

 

いずれにしても、従業員に対する「懲戒」は、本来は対等平等の契約当事者同士である労使関係において、特別に使用者に認められる懲罰権であるため、慎重で厳格な根拠や理由が必要です。


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