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2012年4月27日

りそな企業年金基金事件

AIJ投資顧問による年金消失問題で、厚生年金基金がクローズアップされています。

厚生年金基金の財政悪化は以前から問題になっており、判例を調べると、受給者などから給付額減額などを争われた事例がいくつか出てきます。

 

ご紹介するのは、りそな銀行の厚生年金基金が規約変更により給付額を切り下げたのに対して、受給者らが変更前の給付額にもとづく差額の支払いなどを求めた事件の判決です。

(東京高裁H21.3.25 労働判例No.985)

判決はまず、年金受給権の法的性質について、「厚生年金基金と受給者との法律関係は、個別契約ではなく、法令と同基金の規約とによって規律される」としました。

この判決のポイントは、規約変更によって年金支給額を変更する場合の実体法上の有効性(受給内容の不利益変更の可否、要件)について、詳しく判断したところです。

まず、「全体としての原資の確保や所期の運用利益と適正な年金数理による業務遂行」可能性などの「事情変更があった場合には、適正な団体的意思決定に従った規約変更により、加算年金給付を減額することは、厚生年金基金制度において予定されていると解すべきである」としたうえ、「規約変更の効果がおよそ加入員であった者に及ばないとか、個別的同意を要するということはできない」と判断しました。

そして、規約変更による年金受給額の不利益変更の要件として、特に加入者であった者に対しては、

?給付水準の変更による不利益の内容、程度

?代償措置の有無

?内容変更の必要性

?他の受給者または受給者となるべき者(加入員)との均衡

?これらの事情に対する受給者への説明

?不利益を受けることとなる受給者集団の同意の有無、程度

これらを総合して、当該変更が加入員であった者(受給者)の上記不利益を考慮してもなお合理的なものであれば、受給者の給付額を切り下げる規約変更も許されるというべきであると判断しました。

加入員であった者(受給者)の場合は、すでに裁定(厚生年金法134条)により受給権が具体的に発生しており、年金が生活基盤であるため減額が切実な問題であること、他方、代議員の選出など基金の団体的意思決定に参加できない、などの事情があります。

しかし、経済情勢の悪化などで基金全体の財政状況がひっ迫している以上、やむ得ない「痛み分け」との判断だといえます。


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