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2012年9月3日

事業承継対策   相続人等に対する株式の売り渡し請求

会社法(平成17年成立)が用意した中小企業の事業承継対策に、株式の相続人等に対する売渡し請求(174条)があります。

 中小企業のほとんどは、株式譲渡制限(取締役会の承認)を設けていますが、相続など一般承継によって株式が移転する場合には、譲渡制限の対象となりません。せっかく譲渡制限をしていても、相続が起これば株式が拡散してしまいます。

そこで、会社法では、定款に定めをして、相続人に対して売渡しの請求ができる制度を設けました(会社法174条)。

なお、定款に定めをするには、定款変更として、株主総会の特別決議(3分の2以上)が必要です。

 

具体的に売渡し請求をするには、株主総会の特別決議により、請求する株式の数、と、その株式を有する者の氏名、を定め(同175条、同309条2項3号)、相続があったことを知った日から1年以内に、株式数を明示して請求します(同176条)。

1年を経過すると、売渡し請求権は無くなります。

この「売渡し請求」の意義は、会社が売渡し請求をすれば、相手の相続人がたとえ売り渡したくなくても売買契約が成立する、というところにあります。但し、売買契約は成立するものの、売買価格まで自動的に決まるわけではありません。

 

売買価格は、先ずは、当事者が協議して決めます(同177条1項)。請求日から20日以内に裁判所に申し立てて売買価格の決定をしてもらうこともできます(同条2項3項)。協議で合意できないまま20日を経過してしまうと、売渡し請求自体が失効してしまいます(同条5項)。他方、裁判所の決定価格は協議に優先します(同条4項)。

売渡し請求をして、すぐに売買価格が決まりそうもなければ、とりあえず裁判所に申し立てをしておくのが安全ですね。

 

なお、この売り渡し請求による相続人にからの株式取得は、会社の自己株式の取得になりますから、買い取り価格等が分配可能額を超えてはいけないなどの制限があります(会社法461条1項5号)。その場合、取得を行った業務執行者等は不足分を金銭で支払う義務が生じます(462条、465条)。

 

株式の譲渡制限を設けている会社で、まだ、相続人等に対する売り渡し請求の規定を定款に入れてない会社は、とりあえず、入れておかれるようお勧めします。


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