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2012年9月25日

優越的地位の濫用

先日、弁護士会の研修で「独占禁止法の優越的地位の濫用と下請法」(大東泰雄弁護士(第二東京弁護士会))を聴講しました。

最近、「優越的地位の濫用」ってよく聞きますよね。で、お勉強したことを復讐します。

 

「優越的地位の濫用」とは、独占禁止法の第2条9項5号(*後掲)に規定があります。

要件は、次の2つです。

1)優越的地位 :自己の取引上の地位が相手方に優越していること

2)濫用行為 :購入・利用強制  金銭・役務提供要請

契約違反的行為  その他不利益な取引条件(バスケット条項)

 

これら要件について、公正取引員会による具体的解釈が、「優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方」(ガイドライン)に示されています。http://www.jftc.go.jp/dk/yuuetsutekichii.pdf

 

1)優越的地位について、ガイドラインは次のように言っています。

「市場支配的な地位又はそれに準ずる絶対的に優越した地位である必要は無く、取引の相手方との関係で相対的に優越した地位であれば足りる」 (*下線筆者)

「甲が取引先である乙に対して優越した地位にあるとは、乙にとって甲との取引の継続が困難になることが事業経営上大きな支障を来すため、甲が乙にとって著しく不利益な要請等を行っても、乙がこれを受け入れざるを得ないような場合である」 (*下線筆者)

「この判断に当たっては、?乙の甲に対する取引依存度、?甲の市場における地位、?乙にとっての取引先変更の可能性、?その他甲と取引することの必要性を示す具体的事実を総合的に考慮する」

 

2)濫用行為は、上記の独占禁止法第2条9項5号のイロハ(*後掲)の行為(まとめると上記2)の4 類型)です。が、この詳細な判断指針や想定例もガイドラインに詳しく書かれています。

ただ、その他不利益な取引条件というバスケット条項があるので、イロハの文言該当性を厳密に議論してもあまり実益はありません。

独占禁止法に詳しい白石忠志教授によれば、簡素化すれば濫用行為に該当するのは次のような場合といえるそうです。

a.乙にとって予め計算できない不利益を課す場合

b.予めわかっているとしても、乙にとって著しく不利な取引条件を課す場合

 

優越的地位の濫用は、平成21年の独占禁止法改正により、課徴金の対象にもされました。以後、高額の課徴金納付命令が出された事案は、

山陽マルナカ事件 (課徴金額2億2216万円)

日本トイザらス事件 (課徴金額3億6908万円)

エディオン事件 (課徴金額40億4796万円)

で、大型小売店(量販店)が、特定納入業者に対して、その従業員の不当に使用、不当な返品、不当な減額、した例となっています。

 

公正取引委員会は、独占禁止法の優越的地位の濫用に係る情報に接した場合に、その調査を効率的効果的に行い、必要な是正措置を講じていくことを目的として、平成21年11月18日、審査局内に「優越的地位濫用事件タスクフォース」を設置しました。その活動状況は、下記です。

http://www.jftc.go.jp/pressrelease/11.june/110601betten.pdf

タスクフォースの平均処理期間は54日。最近は、違反行為につながるおそれありの注意事案が激増しているどうです。

いうことを聞かざるを得ない取引先から無理難題、あるいは??と思うようなことを押し付けられそうになったとき、「優越的地位の濫用では?」と、泣き寝入りしないでくださいね。

 

******************優越的地位の濫用の定義規定*******************

独占禁止法 第2条9項5号

五 自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して、正常な商慣習に照らして不当に、次のいずれかに該当する行為をすること。

イ 継続して取引する相手方(新たに継続して取引しようとする相手方を含む。ロにおいて同じ。)に対 して、当該取引に係る商品又は役務以外の商品又は役務を購入させること。

ロ 継続して取引する相手方に対して、自己のために金銭、役務その他の経済上の利益を提供させること。

ハ 取引の相手方からの取引に係る商品の受領を拒み、取引の相手方から取引に係る商品を受領した後当該商品を当該取引の相手方に引き取らせ、取引の相手方に対して取引の対価の支払を遅らせ、若しくはその額を減じ、その他取引の相手方に不利益となるように取引の条件を設定し、若しくは変更し、又は取引を実施すること。


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