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2012年12月28日

社員の茶髪は許せない?

年配のまじめな社長さんにしてみれば、若い社員の茶髪やピアスに「それ、何とかならんのか」と言いたくなりますよね。

 髪形や服装など個人の自由にかかわることについて、会社はどれくらい制限できるのでしょうか?

 

有名な判例では、、

ハイヤー運転手の口ひげについて、「ハイヤー乗務員勤務要領」の身だしなみ規定では、「ヒゲをそり、頭髪は綺麗に櫛をかける」と定められていました。裁判所は、このような規程で禁止されるのは、「無精ひげ」とか「異様、奇異なひげ」であって、格別の不快感や反発感を生ぜしめない口ひげはこれに該当しない、と解釈しました。

トラック運転手が、茶髪を改めるようにとの命令に従わなかったため、諭旨解雇された事例では、裁判所は、企業が労働者の髪の色・型、容姿、服装などについて制限する場合は、企業の円滑な運営上必要かつ合理的な限度にとどまるよう特段の配慮を必要とされる、として諭旨解雇を無効としました。

現代的なところでは、性同一性障害者が別性容姿で就労したことに対し、懲戒解雇された事例について、懲戒解雇を無効とした判例も出ています。

もちろん、このような「身だしなみに対する制限」は、就業規則の服務規律にあらかじめ明記しておく必要があり、違反に対する「懲戒」も就業規則で明記しておく必要があります。

判例は、それでもさらに、このような就業規則の文言を「合理的に解釈」し、「懲戒権濫用法理」も使って、労働者の個人の自由を企業が不当に侵害することのないよう限定してい解釈しています。

 

会社が従業員に対して服務規律を定めたり懲戒を行ったりできる根拠について、判例は、企業が、ヒト、モノ、カネ、を統合、管理、運営して利益を上げる組織体である以上、「企業秩序」を定立、維持する権限を当然に有するから、と考えています。

しかし、他方で、労働者(ヒト)は、モノ、カネ、と違って、生きている人間ですから、基本的人権を持っており、すべての生活や人格を一般的に拘束することはできません。会社の企業秩序定立維持権限にも限界があります。

労働者の人格や自由に対するに対する拘束は、事業遂行上必要かつ相当な範囲でのみ許され、使用者はそのような範囲を超えた支配や拘束を行わないよう配慮しなければなりません。

 

ですから、本来なら、個人の自由にかかわるような規制は、職種や業務内容に応じてキメ細かく規定できれば良いのでしょう。

工場の現場で一日中、加工作業をする社員さんなら、茶髪でも問題ないと思います。でも、偶には、お客さんのところへ配達に行ってもらったり、営業にも回ってもらったりするのであれば、茶髪はマズイかもしれません。

仙台のヴィ・クルー社は、大型バスの修理、メンテナンスをする会社ですが、茶髪の若い社員さんが真面目にイキイキと修理作業をしていました。地元の若者に働く場を提供したいと頑張っている元気な社長さんでした。

ある知り合いの社長さんは、面接に来た、ピアスをいっぱいくっつけた若者をあえて採用し、先輩と一緒に営業に回らせているうち、だんだんピアスが消えていったそうです。

大企業と違って、すべての社員さんの顔が見える中小企業ですから、服務規律や懲戒規定で縛るだけでないやり方、があるのかもしれませんね。


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