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2012年6月2日

自然エネルギー先進国ドイツ、次の段階へ

来月から始まる、自然エネルギー電力固定価格買取制度(Feed-in Tariff:FiT)。起源は、ドイツが1990年に施行した「電力供給法」です。自然エネルギーで発電された電力を電力会社が系統に接続して買い取る義務を定めました。2000年に全面改正されて「再生可能エネルギー法」(EEG)となり、2004年に再改正されました。

 この固定価格買取制度により、ドイツでは最近10年間に、農民や市民が協同で建てる風車、市民が屋根に設置する太陽光パネル、が飛躍的に増え、その勢いはどの専門家も予測できなかったほどに伸びました。2010年の自然エネルギーの総エネルギー需要に対する割合は約11%、総全電力需要に対する割合は17%に達しています。10年後には、総電力需要の40%を再生可能エネルギーで賄うことも可能とのシナリオが示されています。

 

ドイツでは昔も今も、自然エネルギー利用(熱や電力)は、市民や農民、地域が主導で普及が進められています。その原動力は、再生可能エネルギー利用プロジェクトによる有形無形の経済的利益を地域のみんなで分け合う仕組みづくりにありました。自治体、商工会、地方銀行、市民(資産や財力の有る人も無い人も)が協働して、資金や労力、知恵などそれぞれが出せるものを出し合ってプロジェクトに参加し、プロジェクトによる直接的税収のみならず、雇用、地域資源の活用、所得増加、参加意識の向上、などの経済効果を生み出していきます。こうして、過疎と高齢化に悩んでいた農村が「エネルギー自立村」として生まれ変わる事例が増えているそうです。

そして、私が注目したのは、再生可能エネルギーの普及によって、ドイツでは新たに約39万人の雇用が生み出されたことです。エネルギー生産原単位で比較すると、再生可能エネルギーは原子力発電の約10倍の雇用を生み出すということでした。

 

ドイツではすでに、太陽光発電は、その普及によって、発電コストが市場価格を下回り、経済競争力をつけてきています。

2010年秋に策定したエネルギー戦略で、2050年までに一次エネルギー消費に占める再生可能エネルギー割合を60%にするという目標を掲げたドイツにとって、次の課題は「省エネ」と「蓄電」です。

「省エネ」は、特に建物(住宅、オフィス、工場)が課題です。最終エネルギー消費の約40%が建物の暖房と給湯なのだそうです。古い建物の断熱リフォームへの低利子融資、「建物エネルギー証書」制度、などで、省エネリフォームを推進しています。我が国でも、日本の省エネ技術は世界一、とよく言われますが、建物の省エネについてはまだまだ余地は大きいのではないでしょうか。

「蓄電」について興味深かったのは、電気自動車と水素ガス化(Power to Gas)です。電気自動車については、総電力消費を増やすのは賛成できないなぁと思ってましたが、自動車を家庭用大型蓄電池として機能させる発想には、目からウロコでした。水素ガス化は、日本ではまだあまり聞き慣れないものですが、いわゆる、燃料電池を逆行させる技術です。

 

さすが、自然エネルギー先進国ドイツ、もう次の段階を見据えて議論を始めているんですね。

 

日本でも、いよいよ来月から、再生可能エネルギー固定価格買取制度が始まります。マスコミ報道では、大企業によるメガソーラーやウインドファーム、技術開発の側面ばかりが目につきますが、この制度が生まれた国ドイツでは、市民による市民のための、市民がエネルギーを取り戻すための制度だったんですね。


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