
2012年12月28日
10年ほど前までは、年末になると必ず、破産申し立て事件があり、28日の午前中に大急ぎで事務員さんに裁判所の受付に押し込んでもらったものでした。
最近は、うちの事務所が破産に縁がなくなったのか、破産事件そのものが減ったのか、そういう年末のドキドキイライラから解放されました。
以前、ライブドア事件の頃、ある社長さんから「一時的な急成長でも、大勢の若者の雇用を生み出したんだから、細く長くやってるより、社会的には意義があるんじゃない?」と聞かれたことがありました。
私の答えは「だんぜん、NO!」です。
破産した会社の現場に行くのは、本当に辛かった。生々しい仕掛品や原材料、適当に散らかった工具、古いけど油で光っている機械類。昨日まで社員さんが働いていたんだろうなぁと思わせる、時間が止まったような空間。生温かい空気だけと冷え切った静寂。なんともやりきれない気持ちになりました。
案内してくれる社長さんは、これで明日から資金繰りで眠れないこともなくなるという妙な安堵と、やりきれない寂しさが入り混じった、何とも複雑な、しかし淡々とした表情だったのを今でも覚えています。
中小企業の破産管財の現場では、こういう場合、工場や事務所の不動産を処分(売却あるいは賃借なら明け渡し)するため、中に在る機械や工具、原材料や仕掛品などは一切まとめて、専門の処分業者に処分してもらいます。
中古の機械は、動かせば価値を生みますが、こういう処分では良くて二束三文、たいていは取り外しや移動に費用がかかってマイナスです。原材料も同様です。仕掛品や工具に至っては、たいていゴミとして処分費用がかかってしまいます。
ほんとうにもったいない話です。
中小企業家同友会で、建物や機械が古くても、整理整頓が行き届いて、機械や工具も手入れされ、社員さんが生き生きと働いておられる工場に行かせていただくと、本当にうれしい気持ちになります。
やっぱり、企業は生き続けてこそ価値があります。
ヒト、モノ、カネ、それぞれバラバラに見たら大した価値が無いかもしれませんが、それらを結び付けて動かして企業体になると、命を得て、まるで有機体のように素晴らしい価値を生み出すようになります。
どんな事業も地球の資源を使っているはずです。空気、水、原材料。サービス業だってそうです。
だから、事業の継続こそ、いちばんの環境保全だと思います。
頑張って会社を維持すること、利益を出して次の事業につなげること、後継者を育ててバトンタッチすること、すべては地球の環境を保全するための環境経営になると思います。
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