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2012年9月17日

弁護士でない者が他人の交渉できるの?  ー弁護士法72条ー

「弁護士でない人が他人の交渉ごとを扱っていいの?」と聞かれました。

ダメです。 弁護士法72条に違反する違法、無効な行為です。

 

弁護士法72条は、非弁護士の法律事務の取扱い等を禁止しています。以下の4つの要件を満たせば、これに該当します。

1)弁護士又は弁護士法人でない者

2)法律事件に関する法律事務を取り扱うこと、又は、

法律事件に関する法律事務の取扱いを周旋すること

3)報酬を得る目的があること

4)業としてなされること

 

判例上、このような「法律事務」に該当するとされたものは、以下のようなものがあります。

◇債権取立ての委任を受けてなす請求、弁済の受領、債務の免除行為

◇自動車損害賠償請求責任保険金の請求、受領の行為

◇交通事故の相手方との示談交渉

◇建物賃貸借契約の解除、賃借人の立退き交渉

 

この趣旨について、弁護士の職域擁護じゃないの?と誤解される向きもありますが、最高裁判所(最高裁大法廷判決 昭和46年7月14日)は、

『弁護士は、基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とし、ひろく法律事務を行うことをその職務とするものであって、そのために弁護士法には厳格な資格要件が設けられ、かつ、その職務の誠実適正な遂行のため必要な規律に服すべきものとされるなど、諸般の措置が講ぜられているのであるが、世上には、このような資格もなく、なんらの規律にも服しない者が、みずからの利益のため、みだりに他人の法律事件に介入することを業とするような例もないではなく、これを放置するときは、当事者その他の関係人らの利益をそこね、法律生活の公正円滑ないとなみを妨げ、ひいては法律秩序害することになるので、同条は、かかる行為を禁圧するために設けられたものと考えられるのである』

として、本条は、国民の公正・円滑な法律生活を守り、法律秩序を維持することを目的とする、高度に公益的な規定であるとしています。

すなわち、この条文が守っているのは、弁護士の職業利益でなはく、国民の法的(権利や義務)安全ということですね。

ちなみに、違反者には、懲役を含む刑罰があります。

 

以前に扱った事件で、当事者間の交渉段階の途中から、「総務部統括本部長」の肩書き名刺を持つ人物が「(相手方当事者会社から)自分が一切の委任を受けている」と登場してきましたが、同人物は同社の役員でも常勤社員でもなかった、という例がありました。

この件は、その後、民事調停にしたので、同人物は排除されましたが、弁護士法72条違反であった可能性は極めて高かったと思っています。

 

弁護士法72条はあまり知られていない条文ですが、交渉ごとなどに怪しげな人物が絡んできたときには、けっこう使える強力な条文です。
*************************(参照:弁護士法から抜粋)*****************
第九章 法律事務の取扱いに関する取締り

第七十二条(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)
弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、
異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して
鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をする
ことを業とすることができない。
ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

第七十三条 (譲り受けた権利の実行を業とすることの禁止)
何人も、他人の権利を譲り受けて、訴訟、調停、和解その他の手段によつて、その権利の
実行をすることを業とすることができない。

第十章 罰則

(非弁護士との提携等の罪)
第七十七条  次の各号のいずれかに該当する者は、二年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。
一  (略)
二  (略)
三  第七十二条の規定に違反した者
四  第七十三条の規定に違反した者


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