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2013年1月14日

リビング・ヘリテージ  ー旧い建物を保存する考え方ー

12日(土)、大阪弁護士会館で、公害対策環境保全委員会の都市環境部会が主催して、「歴史的建造物を守るための専門家と市民とのシンポジウム」を開催しました。約100名もの市民の方々が来てくださいました。ありがとうございました。

  昨年末、大阪では大阪中央郵便局(1939年に吉田鉄郎氏が設計)が、京都でも岡崎公園の京都会館(第1ホール部分)(1960年に前川國男氏の設計)が取り壊されました。どちらもモダニズム建築の傑作です。

シンポジウムはこれらモダニズム建築の取り壊しを止めさせる裁判に協力してくださった、松隈洋教授(京都工芸繊維大学)、高岡伸一氏(建築家、大阪市立大学特任講師)、倉方俊輔准教授(大阪市立大学)をパネリストに、歴史的建造物、特に20世紀のモダニズム建築の保存について、議論しました。

 

勉強になったのは、「リビング・ヘリテージ(Living Heritage:生きている遺産)」という考え方です。旧い建物を「使いながら保存していく」考え方です。今、モダニズム建築を保存する手法として世界的に合意されつつある考え方だそうです。

 

日本の場合、旧い建物を保護、保存する法律には、文化財保護法があります。

ただ、文化財保護法は、江戸時代以前の寺社仏閣などを保護するには良いのですが、モダニズム建築の保存には、とても使えない法律です。

というのも、モダニズム建築は、街並みの中で、地域の人たちの生活、そのおじいちゃんやおばあちゃんの記憶とともに生きているので、文化財保護法で「単体」として保護され、現状変更や修理を厳しく制限されるのには、向かないのです。

松隈教授は、モダニズム建築は旧い友人のようなもの、と言っておられました。まさに、使いながら、使う人の記憶とともに、価値を受け継いでいく保存制度ができればよいと思います。

 

現在、モダニズム建築は、土地の有効利用、高度活用、の経済原理のもと、その価値を充分に吟味される間もなく、どんどん取り壊され、超高層の四角い建物に代わっていっています。

しかし、50年後、100年後、私たちの子供や孫たちは、これら超高層ビル群を「使い続けて」いてくれるでしょうか?

私の事務所がある「堂島ビルヂング」は、その名前からも想像できるように、とっても旧い建物(家主さんから昭和2年と聞きました)で、阪神大震災の後に外壁などをリニューアルしたものです。ときどき、来られるお客さんから「若い頃にこの近くに勤めていて、良く通りましたよ。なつかしいですね。」と言われます。旧い建物が好きなのでここに決めたのですが、何だかとっても嬉しくなります。

 

泉南市に在る山陽製紙株式会社(原田六次郎社長)さんは、昭和26年当時の木造の工場を一部残して、そのまま使っておられました。中小企業家同友会の環境部会でご一緒で、昨年3月に工場見学に行かせてもらいました。昭和3年創業で、会社の歴史をとても大事にしておられますが、会社の歴史を旧い工場ととともに遺すということが、とっても素敵に思えました。

 

不況だ、デフレだ、と言いながら、建物の新築ラッシュは、バブルの80年代より最近のほうが華々しいような気がします。

地球資源の枯渇や廃棄物の将来世代へのツケが問題になっているのに、もういい加減、スクラップアンドビルドの経済価値観から卒業したいです。


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