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2013年2月28日

土壌汚染リスクには気を付けて ー自然由来汚染もありますー

2月14日、近ごろすっかりなじんでいる「土壌汚染対策コンソーシアム」(CSCC)で、最近の土壌汚染の裁判例について報告しました。

 当日はバレンタインデー、平田健正先生に来ていただけたらチョコのお土産も・・って思ってたのに、急用で平田先生は御欠席・・・グスン(;_;)  それはともかく、

 

ここ数年で、土壌汚染対策法が問題となった裁判例も、同法の適用を受ける事例も、とっても増えてきました。

土地の売買や賃貸をする場合に、「土壌汚染」はマストmustで考慮すべきリスクになりました。

 

土壌汚染が懸念されるのは、メッキ工場やクリーニング工場、ガソリンスタンドの跡地、などが典型ですが、もと廃棄物処分場や、埋立て地なども、要注意!です。

そして、使用履歴で問題がなさそうな土地でも、コワーイのは『自然由来』の汚染です。日本は火山性の土壌なので、ヒ素やフッ素、たまに重金属類が、フツーに含まれているのだそうです。

その「自然由来」汚染が問題になって、なかなか粋な判断をした裁判例(東京地裁平成23年7月11日(判例時報2161号69頁)があるので、ご紹介しますね。

 

青森市内の味噌屋さんが、工場敷地約1万6500坪を、不動産屋に41億円で売却しました。

不動産屋は買うに当たりあたり「土壌汚染があるといけないから調査してくださいよ」と言いました。味噌屋さんは、自分の工場で有害物質を使ったことは無いし、工場を建てる前は田んぼだったし、地下水の水質検査結果も基準違反はないから、「土壌汚染なんて無いはずだし、調査も要らない」と断りました。すると不動産屋は「それじゃあ、ウチで調査しますよ。もし土壌汚染が見つかったらオタクで除去費用を持ってもらえますか」と言いました。味噌屋さんは(汚染が出ないことに自信があったのでしょう)「いいですよ」と言って、契約書に『土壌汚染調査の結果、環境基準を上回る汚染があった場合は、売主は除去費用を買主に支払う』旨の特約を入れさせてしまいました。

 

売買契約後、不動産屋は土壌汚染調査をしました。その結果、一か所で環境基準を超えるヒ素(0・018mg)(環境基準は0.01mg以下)が検出されました。

不動産屋は味噌屋さんに、上記の特約をタテに、除去費用約2億4000万円を支払え、と裁判を起こしてきました。

味噌屋さんは、そのヒ素は八甲田山系由来のもので自然由来だから土壌汚染ではない、と言って、除去費用の支払いを拒否しました。

 

さて、判例は、特約の『環境基準を上回る土壌汚染』について、環境省が定めた土壌汚染環境基準は自然由来には適用されない、だから、特約の『環境基準』も、自然由来のものは除外する趣旨だと解釈しました。そして、本件で特約の適用はないから、不動産屋の請求は認められない、と判断しました。

さらに判例は、不動産屋の主張を非難して、こう言っています。土壌汚染について、味噌屋さんは素人で、不動産屋はプロなんだから、特約の「環境基準」が環境省の「土壌環境基準」と違って自然由来も含むというなら、ちゃんと説明して書いておくべきである。土壌汚染の除去費用は巨額なんだから、後から自分に有利なように特約を解釈しようという不動産屋の主張は、土地売買の当事者間の衡平に反して許されない。

 

なかなか粋な判断だと思いませんか?

もちろん、判決文は判決文らしい言葉づかいで書いてあって、上記は私が判りやすいように言葉を変えていますが、趣旨は変えていません。

控訴されましたが、高裁でひっくり返される可能性は少ないと思います。

 

ただ、平成22年の土壌汚染対策法が改正され、自然由来の汚染も対象とされるようになりました。

今後、事業用の土地を売買、賃貸する場合には、土壌汚染のリスクを念頭において契約書を交わす必要があります。

「どんな文言の条項を入れておいたら安全ですか?」とよく聞かれるのですが、絶対に安全な万能薬のような文言は、残念ながら、無い、と思ってください。

あえて言うなら、知らせるべきは全部知らせ、やるべきは全部やり、そのことを契約書などに書いておくことです。取引安全の原則は、信義誠実、結局これにつきますね。

つまり、具体的な契約条項の文言は、ケースバイケースですから、不動産を売買、賃貸借するときは必ず、弁護士に相談するようにしてくださいね。


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