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2013年4月11日

環境問題の解決は市民参加で・・「オーフス条約」知ってますか?

今週月曜日、弁護士会でオーフス条約の勉強会がありました。

 オーフス条約とは、環境分野における市民参加の国際的最低基準を定めた条約で、いま、EU加盟国を中心に批准する国が広がっています。日本は未だ批准できていません。

環境問題の解決に市民参加を採り入れなければならないという認識は、EU諸国だけでなく、アジア、アフリカ、ラテンアメリカでも広がっており、今や、世界的潮流になっています。

環境問題は、原因や影響が複雑で広く深く広がっており、誰もが無関係であり得ないし、科学者だけでも政治家だけでも解決することは不可能で、市民みんなが知恵を出し合い、協力し合わなければ、より良い環境を守り、回復することができないことに、世界中の人々が気付き始めているからです。

 

オーフス条約の根幹は、3つの環境アクセス権の実質的保障です。

一つは、情報アクセス権、すなわち、環境情報の公開です。

国や自治体の保有する公文書の公開に限られず、公的な役割を果たす一定の民間組織の情報も公開の対象になります。日本の各電力会社は地域独占で公的サービスを担っていますから、オーフス条約を批准すれば、市民からの情報公開に応じなければならなくなります。また、最高裁は最近、省エネ法に基づく企業の排出量情報の不開示を認めましたが、オーフス条約では企業の排出情報は原則として公開しなければなりません。

 

2つめは、政策決定参加権、すなわち、環境に関する政策の意思決定における市民参加です。

日本にも、環境影響評価制度やパブリックコメントがありますが、「市民参加」にはほど遠い実感ですよね。そういえば、エネルギー政策における原発の割合に関して「国民的議論」をしましたけど、あれって結局、どうなったんでしたっけ?

 

3つめは、司法アクセス権、環境問題を市民が裁判所で争える権利です。

日本の場合、これがもっともダメでしょうね。

日本人は、日本の環境NGOも含めて、日常の問題解決の選択肢に「裁判」を入れたがらない風潮がありますね。でも、弁護士の立場からいえば、「裁判でどうなるか」が判らないままに日常の問題解決の軸も決まらないでしょう?って感じがしています。これは、環境問題に限らないですけど。

オーフス条約がスゴイ!のは、環境裁判アクセス権を実効あらしめるところにあると思ってます。

 

この同じ日の朝、中国の全人代法制工作委員会行政法室(う~ん、日本でいえば国会の法制委員会の行政法室ってとこか)の方々に、私が担当した「永源寺第2ダム事件裁判」のレクチュアをしていました。環境分野の基本法である「環境保護法」改正のために、日本の環境裁判の実情を調査に来られたのだそうです。

中国は、環境問題の抜本的対策のひとつとして、環境公益訴訟(市民や環境保護団体に環境問題の訴権を認める制度)の導入を検討しています。導入するとすれば、基本法である「環境保護法」に何らかの規定を入れることになるのでしょう。実際、この日も環境公益訴訟に関する質問があり、真剣に検討されていることが判りました。

PM2.5問題はじめ、公害環境問題の凄まじい現状ばかり報道されている中国ですが、さすがに、対策に真剣に取り組み始めているようです。
中国が本気になって、世界最先端の法制度を取り入れ、実施を徹底したら、すぐに追い抜かれてしまうかもしれません。

日本もがんばらなくちゃ!


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