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2014年8月2日

DNA鑑定父子関係の最高裁判決

先月17日、婚姻中の妻Aが不貞相手Cの子Xを出産し、夫Bに対して親子関係不存在確認を求めた2つの裁判で、最高裁判所(第1小法廷)は、不存在確認を認めず、法律上の父子関係はBXとする判決を示しました。

 周囲の方々から、たくさんの疑問や不満をお聞きしました。私自身もその結論に疑問を感じますし、最高裁自身も、白木裁判長を含む反対意見2、補足意見(結論賛成)2の僅差です。

大まかに言うと、民法の親子関係の規定が陳腐化しつつあり、判例が実態に合わせて修正してきた従来の枠組みだけでは、現代の科学技術や家族関係の変化への対応が難しくなっているのです。
最高裁裁判官の意見の違いも、結局、従来からの判例の修正枠組みをさらに実質化させて現実的な結論を導くか、本件事案は判例の修正枠組みを超えるものとして現実を追認することを拒否するか、のように思います。

抽象的なことばかり言っても良く判らないと思いますので、解説しますね。
出発点は、民法772条の嫡出推定規定です。婚姻中の妻が、婚姻成立から200日を経過した以後婚姻解消から300日を経過するまでの間に産んだ子は、夫の子(嫡出子)と推定する、というものです。
本件ではいずれも、妻Aは夫Bとの婚姻中に子Xを妊娠、出産しているので、この規定によりXは【嫡出推定】を受けるわけです。

嫡出推定制度は、父子関係を出生時画一的に確定することによって、子の社会的経済的地位の安定を確保しようとするものです。
そのため、推定を覆すために法律が認めた唯一の例外は、民法774条以下に規定する「嫡出否認の訴え」です。これは、夫にだけ許された訴権で、出生を知ってから1年以内に提起しなければなりません。
しかし、これだけでは実態に合わないことが多いので、判例は従来から、形式的に民法772条の出生日要件に当てはまる場合でも、妻が夫によって懐胎することが不可能な事実が在る場合に【嫡出推定が及ばない例外】を認めてきました。
具体的には、事実上の離婚状態にあって夫婦関係が断絶していた場合、夫が行方不明だった場合、夫が海外滞在中あるいは在監中だった場合、などです。

本件では、DNA鑑定で生物学的父子関係が明確に否定された場合、が、この「嫡出推定が及ばない例外」に当たるかどうか、が争われたわけです。
私自身は、不貞関係が在ったとはいえ、子Xの現状と将来を考えると、最高裁の結論には反対です。多数意見にはやはり、不貞関係を追認することへの躊躇、が透けて見えます。

心配なのは、父子関係というタイトルよりも、父親としての社会的経済的責任です。実の子でも養育費を払わなくなる父親が多い世情で、このB氏は、すでに別に生活し、実子でないことが明らかな子Xに対し、養育費を払ったりするのでしょうか?


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