人も自然も輝く未来に

ブログ

2015年6月18日

売掛金回収には仮差押

取引先から売掛金が期日に入金されない。「●×日まで待ってほしい」と言われ、待っても入金されない。

こういう時に弁護士に相談に行くと、「その取引先に財産があるか、営業を続けているなら、仮差押えをしましょう」と勧められます。

取引契約書の期限の利益喪失条項にはほぼ必ず「仮差押を受けたとき」と書かれていますから、経営者の方ならご存知の手続きかもしれません。

ただ最近は、バブル崩壊直後に比べ、仮差押などの保全事件が格段に減っていますので、もう一度おさらいしてみましょう。

 

仮差押は仮処分とともに、民事保全法に規定されています。

判決までには時間がかかるので、裁判で求める内容を実際に判決が出た後に実現できるよう、「仮」に、裁判所が必要な限りの処分(命令)をするものです。

仮差押はそのうち、金銭債権を保全するための手続で、債務者の財産処分を禁じます。

 

 債務者の財産を強制的に、差し押さえて換価し、その代金から回収するような「強制執行」は、原則として、確定した判決書など裁判所が作成する文書(民事執行法22条、「債務名義」といいます)に拠らないと、出来ません。例外は、執行受諾文言付き金銭支払等債務承認公正証書です。

 

仮差押は、裁判が始まる前に、債権者の言い分だけを聞いて、債務者の財産を差し押さえます。

債務者に財産がある場合は効果絶大で、債権者にとっては強力な手段、債務者にとっては打撃になります。

 

債権者の権利を「被保全権利」といいますが、被保全権利の存在について、債権者は疎明(そめい)しなければなりません。裁判所は書証で判断しますので、売掛金の場合、請求書や売掛台帳が必要です。

さらに、被保全権利の不確実性を補い、万一の場合の債務者の被害を補償するため、保全保証金が必要です。金額は裁判所が決めますが、債権額の2割から3割が通常です。具体的には、供託(法務局)か定期預金ですが、最近は利率の関係で、法務局供託がほとんどです。保証金は通常、返ってきますが、裁判が確定するまでは動かせないお金になります。

 

差押える財産は、債務者の財産一般で、他社への売掛金、預金、機械など動産、工場など不動産が対象になりますが、売掛金回収の仮差押なら、他社(「第三債務者」といいます)への売掛債権が第一順位選択となります。

但し問題は、債務者(買主)の取引先の住所名称とおよその取引額を掴んでおかないと、第三債務者の特定ができずに申立ができないか、仮差押命令を得ても、空振り、に終わる危険があります。

同じ金銭債権でも、債務者の取引用の当座預金は、裁判所が認めてくれません。債務者への打撃が大きすぎるからです。定期預金、取引用でない普通預金なら、認めてもらえます。

 

実際に債務者の債権差押えに成功したかどうかは、申立ての際に「第三債務者の陳述催告」を付けておけば、第三債務者からの回答で判ります。

 

効果は絶大ですが、実際に実行するには、日頃から相手の取引先や取引額の情報収集をしておく必要があり、他にも競合する債権者がいる場合には、一刻も早く着手する必要があります。

 

「待ってほしい」と頼まれるとつい、相身互いの情に絆されてしまうものですが、回収可能な条件があるうちに、素早い決断が必要な場面です。


このページのトップへ


Copyright (c) 2011 赤津法律事務所 ALL Rights Reaserved