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2015年8月20日

トップの経営姿勢こそコンプライアンスの要

 

大阪市の内部通報制度を担う公正職務審査委員会委員をしています。
先月、大阪市の課長さんを対象にしたコンプライアンス研修の講師をしました。テーマは「公益通報制度は何のためにあるのか」です。
大阪市に限らず、企業や団体の内部通報制度は、何のためにあると思いますか?

 

内部通報に対して、かつての「チクリ」「裏切り」というマイナスイメージはすでに時代遅れになりました。
今や内部通報制度は「コンプライアンス経営のためのリスク管理手法」の一環と考えられています。つまり、正規の意思決定過程に法令順守を制度的に組み込むだけでなく、万一、正規的意思決定が正常に機能しない場合にも備えて、法令順守に関する非正規の情報収集ルートを確保しておく制度なのです。
ですから、制度を構築する場合、まずもって内部通報が組織内部に向けられるように、すなわち、最初の通報はトップや幹部宛に寄せられるようにしなければなりません。

 

では、どうすれば内部通報が組織内部に向けられるようにできるでしょうか?
その要点は、①通報者保護 と ②組織上層部に対する信頼 です。

 

「組織上層部に対する信頼」は、内部通報を要する状況とは逆説的に思えますが、実は、とても重要なポイントなのです。「通報すれば、ちゃんと是正してもらえる」という信頼がなければ、通報してもらえません。組織上層部に対して信頼が無く、それでも通報する必要を感じた場合、その通報者は外部(監督官庁やマスコミ)宛に通報することになります。内部通報がいきなり外部へなされた場合、組織全体が受けるダメージは計り知れません。

 

内部通報制度は何のためにあるのか?
その答えは、組織が自浄能力を向上させるため、です。

 

組織上層部に対する信頼は、いうまでもなく、トップの姿勢がもっとも重要です。内部通報制度を構築する際に、最初に為すべきは、法令順守の決意表明(トップメッセージ)です。これは全社員に対し、明確に、繰り返し、行う必要があります。トップの決意が社員に信頼してもらえるかどうかは、日々彼是の経営姿勢にかかっています。
実際に通報がされた場合、通報者保護を最優先にし、通報内容を真摯に受け止め、きちんと是正措置をとることが絶対に必要です。是正措置は、決して隠蔽ではなく、組織の自浄能力を発揮させるものです。

 

内部通報制度には、トップの「覚悟」が必要なのです。
ど れだけ精密な制度や手続きを整備しても、立派な社外役員を並べても、トップ自ら法令順守の覚悟がなければ、コンプライアンスは機能しません。最近の不祥事発覚のほとんどは、組織外への内部告発によるものです。
トップの経営姿勢であれば、中小企業も大企業に劣るものはありません。中小企業のほうが、社長の日々の言動が社員から見られやすく、襟の正し甲斐もあると思います。


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