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2017年7月3日

小さい会社の相続対策

中小企業の相続対策として、会社法制定(2005年7月)時に創設された「相続人等に対する売渡し請求」の制度を導入しておられるところも多いと思います。

会社法174条以下に規定があります。

株式の譲渡に取締役会の承認などの譲渡制限を付けている場合、予め、定款で定めれば、株式を相続(譲渡制限がかかりません)した者に対して、会社に売り渡すことを請求できます。

定款で定めるには、定款変更の株主総会(特別)決議が必要です。

ただ、実際に売り渡し請求をする際にも、その都度の株主総会特別決議が必要です(会社法175条)。

また、会社からみれば、自己株式の取得になります(会社法155条6号)から、取得財源の分配可能額制限(会社法461条1項5号)、欠損を生じた場合の執行役員の責任(会社法465条1項7号)もあり、財務状態が悪い会社では、使いにくいかも知れません。

 

中小企業経営者の相続対策で、注意すべき点は、株式と個人保証です。

ちゃんと考えているよ、という経営者の方でも、実際には「相続『税』対策」だけになっている場合があります。

自社株式については、「会社支配権」よりも「評価額(株価)」に注意が集中してしまいますし、個人保証は「借金」なので、あまり考えたくない意識が働くのかもしれません。

会社経営者であっても、個人の相続なので、会社経営実態とは関係なく、経営者個人の保有株式と保証債務は、経営者個人の法定相続人(子や妻)が相続することになります。もちろんこれは遺言書が無い場合の話で、中小企業経営者が遺言(公正証書遺言)を遺しておくべき理由をお分りいただけると思います。

 

最近は、株主1人、取締役1人、の1人会社も多くなりました。1人会社でも、取引先が増えて、他人の従業員を雇えば、会社を継続させる必要があります。法定相続人が会社経営を承継してくれるなら問題は少ないのですが、承継してくれない場合、会社のためにも、家族のためにも、相続対策は絶対に必要です。

1人会社を例にとると、経営者が急に亡くなって、法定相続となった場合、妻子は自社株式とともに個人保証債務も相続することになります。保証債務を免れるには、相続放棄(3か月以内)がありますが、自社株式も放棄しなければなりません。結局、株主がいない状態が続いて、会社が存続できなくなってしまいます。

 

株式の分散は、避けたほうが良いので、後を任せたい方を取締役にしておく方法も考えられます。ただ、1人会社は取締役設置会社でないので、取締役にすることは会社代表権も与えてしまうリスクがあります。

 

結局、小さくても、会社経営者となれば、相続対策は絶対に必要です。さまざまな方策にはそれぞれメリットデメリットがありますので、それらを比較衡量しながら、充分に検討しておくことが肝要です。

そして、相続対策は、税理士さんだけでなく、弁護士にもご相談いただくほうがよいと思います。

 

 


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