人も自然も輝く未来に

ブログ

2017年9月6日

社員さん同士のお金の貸し借り (1) 

ある会社から

「社員同士の金の貸し借りでトラブルが多い、社員同士の金の貸し借りを禁止したい」

との相談を受けました。

これには、

1)そもそもそんなことを会社が禁止できるのか?

2)禁止する手段は何か?

という問題があります。

 

2)の「禁止する手段」には、

就業規則の服務規律に明記するとともに、違反は懲戒の対象とする、というキビシイ方法から、

社内モラルとして全社的に確認はするけど、違反に対して制裁や不利益は課さない、というユルイ方法まで、あります。

法的には、上記キビシイ方法、特に、違反に懲戒まで可能か、が問題となります。

 

そもそも、契約当事者の個人として対等平等な労使関係において、国家権力でもない私企業が、「懲戒」という、上下関係や権力関係を前提とした懲罰を与えうる根拠は、どこに在るのでしょうか?

 

判例は、企業とは、多数の労働者を組織的に協働させることで成り立つ以上、秩序維持のために個々の労働者に規律の順守を求めるのは当然、ということを言っています。社長や経営者がエライからではなく、当該従業員も含めた全社的利益にその根拠を求めていると考えられます。

但し、実際に懲戒するには、罪刑法定主義の考え方から、予め対象行為や要件を就業規則に明記すること、さらに、比例原則の考え方から、行為の重大さと懲戒の重さが釣り合っていなければならないこと、が求められています。

 

他方、労働者も個人として、自由や権利があります。業務遂行に関係のない、私生活上のことや生活態度に至るまで、会社にとやかく言われる筋合いはありません。

 

要するに、会社の企業秩序維持の必要、と、労働者個人の人格的自由との兼ね合い、ということになります。

 

なので、「社員同士の金銭の貸し借り」といっても、それがその会社の企業秩序を乱すような状況が無ければ、就業規則の服務規律に規定したり、ましてや懲戒の対象行為に含めたりすることはできません。

 

ちなみに、単なる社内モラルとして全社的に確認するだけなら各社それぞれのやり方に従えばよいのですが、就業規則の服務規律や懲戒事由に規定するとなると、就業規則の作成・変更手続き(労基法90条)が必要になります。

 

 

 

 

 

 


このページのトップへ


Copyright (c) 2011 赤津法律事務所 ALL Rights Reaserved