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2017年9月6日

社員さん同士のお金の貸し借り (2) 

では、社員同士の金銭の貸し借りが、会社の企業秩序を乱すような状況、とは、どのような場合でしょうか?

 

金銭の貸し借りが、パワーハラスメントとして横行しているような場合は、就業規則の細則であるパワハラ規定に、具体的な禁止条項として規定することができると考えます。

パワハラにはあたらないとしても、社員同士の金銭の貸し借りによるトラブルが頻発し、社内の人間関係を著しく悪化させて、業務の円滑な進行に支障をきたしているような場合、その会社の営業内容や当該労働者の業務内容の特質上、金銭の貸し借りが業務に著しい支障を生じさせる場合、などは、就業規則に規定して禁止するのもやむを得ない、と考えられます。

いずれの場合も、就業規則に禁止規定として入れるには、就業規則の変更手続きとして、労働者の過半数代表の意見が必要です(労基法90条)。これは、事実上、職場の過半数労働者が賛成するような状況が必要ということを意味します。

 

ただ、仮に、社員同士の金銭の貸し借りを禁止する、というような規定を就業規則の服務規律に入れたとしても、実際の適用には、限定解釈が必要です。

その日のうちに返した小銭の貸し借りや、やむを得ない事情があったり、常識的に問題にならないものにまで、一律に適用することは許されません。

 

判例にも、ハイヤー運転手の口ひげ、が問題になった有名な事例があります。

乗務員勤務要領の身だしなみ規定「ヒゲをそり、頭髪は綺麗に櫛をかける」に対し、判例は、これは無精ひげや異様、奇異なひげを禁止するもので、当該運転手のように格別の不快感や反発感を生ぜしめない口ひげは、該当しない、と限定解釈しました。東京地裁が昭和55年に出した、イースタン・エアポートモータース事件です。

 

こんな判例を見ると、日本の裁判所もまんざらでないな、なんて、労働判例を勉強するのが楽しくなります。

 


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