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2018年3月22日

『ギリシア人の物語Ⅲ』を読んで中小企業経営を考える

塩野七生さん著『ギリシア人の物語』で一番分厚い「Ⅲ」の主役は、アレクサンダー大王。誰でも知っている有名人ですが、実際に何をしたのかをちゃんと話せる人は少ないのではないでしょうか?

かく言う私も、やたら広い領域を制覇した征服者?くらいの認識しかありませんでした。

実は、『ギリシア人の物語』を読む気になったのは、アレクサンダー大王のことをちゃんと知りたい、というのが動機でした。

 

歴史上の偉大な英雄は、実は、父子2代といいますよね。

アレクサンダーの父王フィリッポスも、古代ギリシア世界の後進国だったマケドニアに生れながら、ギリシア文明に憧れ、民主政が衰退して混迷していたギリシア都市国家を制覇しました。この地位を受け継いだところから、アレクサンダーの物語が始まります。

遺された目標は、全盛期のギリシア世界を取り戻すべく、ペルシア王国へ進攻して征服することでした。東征は、そのためでした。

 

東征に際して、驚くべきはマケドニア王国の財務状況です。国庫には70タレントしか残っておらず、他方で借金は1300タレントという超債務超過でした。当時21歳のアレクサンダーは意に介さず、瞬発力が衰える、などと言って、東征に出ます。

父フィリッポスは、アレクサンダーに当時最高の教育を施しました。家庭教師は、教養をアリストテレス、体育武術をスパルタ戦士、でした。子弟の教育に、金に糸目を付けない、は正解ですね。

 

小アジアにわたって最初の会戦「グラニコス」で圧勝したアレクサンダーは、以後、予め相手に、開門か抗戦か、を通告します。平和裡の開門は、アレクサンダーにとっても、兵力や武器を消耗しなくて済むわけです。

 

抗戦の場合、イッソスの会戦、ティロス攻防戦、ガウガメラの会戦、ヒダスぺス大会戦、と、アレクサンダーは負け知らずでした。しかも、勝ちっぷりは、柔道でいえば合わせ技無しのスピード一本勝負。その秘訣は、総司令官であるアレクサンダー自ら、真っ白い兜の羽飾りをなびかせながら、真っ先に先頭に立って敵陣に突っ込んでいくことに在りました。後世の武将、ハンニバルやスキピオ、カエサルも、これだけは真似できなかったそうです。

自ら最大のリスクに身をさらしながら先頭に立ってスピード勝負に出る、トップリーダーの理想像をアレクサンダーは体現していたのですね。

 

アレクサンダーの歴史的偉業は、戦いに強かったとか、広大な領土を征服した、ことではありません。

アレクサンダーの最大戦略は、敗者同化とそれによる民族融和でした。ペルシャ征服後、ペルシャ人高官を重用しています。これは仲間のギリシア人から激しい反発を受けました。言葉も文化も違う異民族との融和は、現代の国際社会でも難題です。

しかし、この理想はその後、ローマに受け継がれ、大ローマ帝国の繁栄の礎となりました。アレクサンダーの歴史的偉業は、ギリシア文明とローマ帝国の橋渡しを成し遂げたことにあります。そして、それは今日の西洋文明の深いところに脈々と流れ続けています。

 

読み終わってようやく、アレクサンダーが「大王」と敬称される理由が判りました。

 

 

 


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