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2018年4月27日

「表明保証」にご注意 ~最近の契約書事情~

最近、契約書のレビューや、契約書の解釈に関する御相談、裁判例にも、「表明保証条項」を目にすることが増えてきました。

「表明保証条項」とは、M&Aや営業譲渡、株式譲渡、大型の不動産売買等の契約において、譲渡人側から譲受人側に対し、一定の事実関係を表明してこれを保証し、実際の事実関係が表明した内容と違っていた場合には、譲渡人に所定の損害賠償金や補償金の支払いが義務づけられる内容の条項です。

日本では、渉外(外国取引)関係のM&A実務において、米国の契約実務をモデルに利用されるようになったのが始まりのようです。

日本の伝統的な民事取引法(民法や商法など)の枠組みには無かった、いわば「外来種」です。

 

私が見た「表明保証条項」の対象事実は、基本取引契約書における知的財産権の侵害に関する条項、と、中小企業のM&A(株式譲渡による方法)契約書における会社名義土地に関して土壌汚染の有無に関する条項、でした。

いずれも、私から見れば、リスキーな条項だと思います。

 

M&Aの場合、譲受側が一般的に最も懸念するのは、簿外債務の存否です。簿外債務の有無については、譲渡側の支配可能領域ですから、このような「表明保証条項」でリスクヘッジするのが、有効な手段といえます。

 

しかし、知的財産権について、「世界中のあらゆる国のあらゆる他人の知的財産権を侵害していないことを保証します」なんてことは、譲渡人側の支配可能領域だから判ってるはず、といえるでしょうか? 譲渡人が世界的大企業ならともかく、中小企業にはそもそも無理な要求です。

 

さらに、土壌汚染に関しては、自分の所有土地だからといって、その土壌の自然科学的「事実」をちゃんと全部、把握している人(会社も)なんて、いるんでしょうか?

日本は火山性土壌の地域が多く、客土や利用の履歴管理も無いのが普通です。土壌汚染には自然由来も含まれます。

私なら、自宅のマンションの敷地ですら、土壌汚染が無いことの「表明保証」なんて、恐くて、とてもできません。

 

「表明保証条項」の原産地である米国では、表明保証条項の前提となる契約解釈や裁判実務が在るのですが、日本に移入された「表明保証条項」は、勝手に一人歩きする危険があります。

渉外大手法律事務所が扱うならともかく、弁護士資格も無いM&Aコンサルタントなどの場合、お仕着せの契約条項が暴走するリスクがあります。

 

「表明保証条項」が問題になるようなトラブルは、日本の伝統的民事取引法の枠組みでは、瑕疵担保や債務不履行や錯誤、の問題として処理されてきました。

日本の裁判所(裁判官)は、外来種である「表明保証条項」の紛争処理には、未だ、慣れていません。裁判例の蓄積も、未だ、ありません。

「表明保証条項」の紛争解決リスクは、振れ幅が広いと考えるべきでしょう。

 

 

中小企業や個人の場合、判子を押す契約書に「表明保証条項」がある場合には、その対象事実やそれによる責任リスクを充分慎重に検討するようにしてください。

 

 

 

 

 

 


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