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2018年10月2日

賃金制度は理念と覚悟で

 

経営者にとって一番悩ましいのは、賃金の決め方ですよね。

働く側にしてみれば、お給料の額とお休みがどれくらいあるか、が一番の関心事だと思います。

 

多くの会社では、基本給(月例定額所定内賃金)を「年齢給」と「職能給」の組み合わせにしていると思います。

「年齢給」は、年齢(勤続年数)に応じて増加していく基本給の形態です。

戦後の悪性インフレのなか、労働組合が「生活上の必要性を満たす賃金」として勝ち取りました。これはその後、新卒採用と終身雇用に適合して、日本の高度経済成長を支えました。いわば、働く者の生活給といえます。

「職能給」は、職能資格制度、すなわち職掌(総合、専任、専門、など)ごとに職務遂行能力を資格と級でランク付けし、人事考課で該当するランクを評価して、その額が決まります。

高度経済成長が加速し始めた1960年代後半から「能力主義」の導入として、広がりました。

 

ただ、「能力主義」とは言っても、職能給は年齢給の「修正」なので、あくまで、年齢や勤続年数とともに右肩上がりに増額していく賃金制度の枠内で、「幅」を持たせたにすぎません。

年齢、すなわち最終学歴・入社時期・勤続年数が同じでも、「差」をつけることができる制度、というわけです。

 

では、デキると思っていた社員が、実はデキてないと判ったとき、職能資格を「降格」(ランクダウン=給料減額)させることは、可能でしょうか?

答えは、職能資格制度を定める就業規則(賃金規定)において、そのような制度内容であることを明示しておかない限り、できません。

人事考課による評価結果であっても、職能資格の降格には、就業規則上の根拠規定が必要です。

職能給を定める職能資格制度は、職務遂行能力は勤続によって蓄積されていくことを暗黙の前提としています。

職能給の「差」はその蓄積度合いの差と考えられ、能力の減退や喪失は予定されていないからです。

 

さらに、バブル崩壊後の低成長時代になって言われるようになったのが「成果主義」です。仕事の成果や発揮された能力に応じて、基本給額を増減させようというものです。

職能給の降格の議論も、この流れで出てきたものです。

成果主義の基本給制度には、「職務等級制」や「役割等級制」、「年俸制」など、いろいろ言われていますが、特効薬はなかなか見つからないようです。

従来の「年齢給」+「職能給」を成果主義賃金制度に変更するにも、就業規則の(不利益)変更手続きが必要です。

 

賃金制度については、従業員の数が増えてくると、コンサルタントや社会保険労務士さんに「お任せ」にしてしまう経営者も多いと思います。

もちろん、専門家の意見を聴くのは、とても良いことです。

しかし、賃金制度の基本には、経営者の経営理念があるべきだと思います。

そして、賃金制度を運用する肝は人事考課に在り、機能維持には覚悟が必要です。

経営者の皆さま、自社の賃金制度に理念と覚悟を持って向き合っていますか?


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