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2019年7月9日

「昭和な」働き方の改革、その先

働き方改革法が、今年4月から順々に適用されていきます。

働き方改革の解説を順々にしようかなと思ったのですが、止めました。

月並みな解説なら、あちこちに溢れているからです。

 

日弁連の機関誌「自由と正義」4月号も働き方改革の特集だったのですが、使用者側執筆者が、今回の働き方改革の本質は「昭和的働き方(日本型雇用)」の改革である、と書いていたのは、面白いなぁと思いました。ちなみに、平成生まれ以降の若い人の間では(ウチの息子を含め)「昭和な」という形容詞が流行っているようです。

 

時間外労働の法的上限規制(罰則付き)は、中小企業に対しては、来年2020年4月から適用されます。

<原則>

1か月45時間、年360時間(いずれも法定休日労働含まず)

<特別条項>

1か月100時間未満(法定休日労働含め)

1年720時間(法定休日労働含まず)

複数(2~6)か月平均限度80時間(法定休日労働含め)

発動期間は6か月まで

 

特別条項の「場合」は、今までのような抽象的包括的表現はNGで、できる限り具体的な場合に限定するよう求められています。

また、週休2日にしているところは、どちらを法定休日にするのか就業規則で明確にする必要があります。

なお、36協定に際して、過半数労働組合が無い場合の「過半数代表者」の選定も、その選定手続きの適正が求められます。

 

原則限度時間に法定休日労働が含まれないことや、特別条項の「80時間」は過労死認定基準の時間であること、が批判されています。

従業員を大切にしたいと考える経営者さんは、通常の残業時間として、原則限度時間を下回る30時間程度を目標にされる方が多いようです。

 

「昭和な」働き方とは、高度経済成長期に典型的だった、新卒一括採用、年功序列、職務内容も職務場所もその変更範囲も無制限、賃金カーブは右肩上がりで、勤続年数に比例して(オールマイティな)職務能力の蓄積が基本的前提となっている、モデルでした。

「昭和な」労働者も、男性、妻は専業主婦、若いうちは社宅に住み、生活諸経費も会社が諸手当や福利厚生施設で手厚く面倒見てくれ、30代で子供は二人か三人もうけ、子供に勉強部屋が必要になる頃には、郊外に戸建て住宅を購入・・というライフスタイルモデルでした。

 

これが崩れ始めたのは、90年代半ばと言われています。右肩上がりの経済成長が失速するとともに、右肩上がりの賃金カーブも維持が難しくなったようです。

 

私の世代(1960年代生まれ)は、その両方の時期をリアルタイムで体感してきました。少し侮蔑も含んだ「昭和な」と言われようと、あの時代の多くの日本人にとって、このモデルは全体としてそれなりの存在意義や理由が在ったと思います。

 

では、この「昭和な」働き方モデルを改革して、次の働き方モデルは何か?

それは「モデルの無いモデル」ということなのじゃないかなと思っています。

日本人とか、男性とか、一流大卒とか、出身地とか、結婚しているかとか、子どもがいるか、とか、そういう、自分で選べないことや、外見、ステレオタイプで人間性や能力を判断(規定)されない。

真っ白な大きいキャンバスの前に立たされて、さぁ自由に描いてみて!って言われているような気がします。

 

私自身はむしろ、均等法前世代なので、「昭和な」働き方にずうっと抗ってきたと思います。でもそれは、抗う「相手」が在ったことで、自分のアイデンティを意識できたような気もしています。

 

「昭和な」働き方改革は、全面的に賛成です。

でも、今の日本はまだまだ「昭和な」へその緒をいっぱい引き摺っています。

いくつかの大企業は、新卒一律初任給を止め、ITスキルを持つ人材により高い初任給を設定したそうです。日本の学校教育や大学教育はまだほぼ今までどおりなのに、社会に出たとたん、「君のスキルは何?」って迫られるのってどうでしょうか?

少子化と言われながら、今の時代は若い人にだんだん厳しくなっているような気がします。

若い人が真っ白な大きいキャンバスを前にして、「自分モデル」を自身で確立するようになるまで、じっくりと寄り添ってあげられる度量が、私にはあるかなぁ、と日々、自省しています。


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