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2019年10月9日

自然エネルギー100%の島、ロラン島(デンマーク)に行ってきました。

9月21日から29日、中小企業家同友会全国協議会でエネルギーシフトとSDGsをテーマに、デンマーク・ベルギー・南ドイツの欧州視察に行ってきました。

初日の22日の視察先は、デンマークのロラン島。

ニールセン北村朋子さん著「ロラン島のエコ・チャレンジ デンマーク発、100%自然エネルギーの島」(野草社2012年)で紹介されて有名です。以前からぜひ行ってみたかったところでした。

 

ロラン島はもともと砂糖産業や造船業で栄えた島でしたが、砂糖工場の閉鎖や造船所の廃業で、失業率はピーク時で20%以上となり、デンマークの「お荷物自治体」となっていました。

そんな島を救ったのが、グリーンエネルギー産業でした。

今やロラン島は、自島消費年間電力量480GWhのところ、その7倍以上の3500GWhの電力を発電し、首都コペンハーゲンはじめ周辺自治体に供給しています。その主力は、陸上170基と洋上162基の風力発電です。その売上高は、同島の農産物とほぼ同額の年間500億円にもなります。

 

気候センター(もと砂糖工場)

雲一つない快晴のもと、視察先は、旧い砂糖工場を再利用した建物3階に在る「ヴィジュアル気候センター」。

 

気候センター

仕切られた暗室の真ん中に、本物そっくりの地球が浮かんでいます。

科学の地球儀

これは、NOAA(アメリカ海洋大気庁)が、NASA(アメリカ航空宇宙局)の協力も得て製作、販売している「科学の地球儀」(NOAA’s SCIENCE On A SPHERE)です。直径2mの球体のスクリーンが部屋の真ん中に宙吊りになっており、これに部屋の四隅からプロジェクターで画像データが投影される仕組みになっています。世界中に151個があり、主に大学や研究機関が所有しています。そのほとんどは一般公開されていません。日本には、東京大学と東松島市ディスカバリーセンターに在りますが、東京大学では一般公開していません。ロラン島では、一般に開放するとともに、主に地元の子ども達の環境教育に役立てています。

 

科学の地球儀に投影されるデータは、上空の静止衛星や巡回衛生、海洋調査用ブイ(3000基)から送られてくる各種観測データに加え、定期航行船舶(3400隻)や民間航空機(28500機)からNASAに送られてくるデータを集約したもので、私たちの地球の科学的な実像がリアルタイムでヴィジュアルに判ります。

 

例えば、海水の温度は過去4000年間ほぼ変わらなかったことが知られていますが、最近30年以上は異常な状況が続いているそうです。熱帯と亜熱帯を示す海水温の範囲は北に600kmも広がって、東京2020オリンピックは、熱帯気候のもとで開催されることになるそうです。

最近、従来は無かったような大型台風が異常なコースで日本列島へ来襲するようになりましたが、これは、海水温の上昇とジェット気流の異常な蛇行が原因となって、台風頻発域が以前より北東に移動して日本列島に近づいたため、と科学的に説明していただきました。

 

ロラン市議会議員のレオ・クリステンセン氏によるレクチュアのまとめは、地球温暖化の脅威も、オゾンホール問題で、人類社会が科学者と政治家と経済人の協働によって、2019年にはホールの大きさを10年前の半分に縮減させた経験に学べば、再び克服(適応も含め)できないことはない、という、希望に満ちたコメントでした。

 

科学の地球儀によるレクチュアの後、懇談の中でレオ氏が強調されたのは「地方の時代」でした。今やデンマークの人口流出は、都会から地方へ、だそうです。

ロラン島で産出される安くて豊富な電力は、電力多消費産業(典型的にはITベンチャーってことですよね)の若い経営者に対して魅力的な立地を提供し、安心安全な農産物を求める子育て世代の若い夫婦には、魅力的な住環境を提供できます。

レオ市議とニールセン北村さん

今、ロラン島が取り組んでいる最新のプロジェクトは、自然エネルギー電力で水を電気分解して得た水素に、回収した二酸化炭素を化合して、燃料となるメタンガスを取り出す、というものです。すでに実証実験は済み、国の認可も得ているそうです。これなら日本でも、ガス会社が取り組めそうですね。

 

デンマークは、第一次オイルショックの頃から自然エネルギーへのシフトを着々と進めてきたそうです。原油価格に翻弄されてブレブレの我が国エネルギー政策との違いは何処にあるのか、その答えは、政治と政治家に対する考え方に在るようでした。自分たちのリーダーは自分たちで育てる、そういう覚悟が国民にも求められることを学びました。


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