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2019年10月10日

中小企業は大企業のボンサイ(盆栽)ではない! 欧州中小企業連盟(SMEunited)の熱血ディレクター、ヘンドリックスさん

中小企業家同友会全国協議会(中同協)のエネルギーシフトとSDGsの欧州視察、4日目は、欧州の中小企業団体、「中小企業連盟 SMEunited」でした。

この団体には、2008年、中同協EU小企業憲章の視察でも訪問しています。当時の団体名はUEAPME 欧州クラフト・中小企業同盟でした。私は前回の視察にも参加しました。前回のレクチュアは、Luc Hendricksさん、弁護士でした。とっても印象的なレクチュアだったので、今回もお会いできないかなぁと期待していたところ、なんと、再会できました。ヘンドリックスさんも前回の訪問を覚えていて下さいました。

 

欧州中小企業連盟SMEunitedは、欧州全体(EU加盟国にトルコ、ウクライナ、など、今年秋からはイギリスも?)約2400万社の99.8%を占める中小企業(従業員数250人以下)のうち、1100万社の会員を擁します。三井逸友先生によれば「EUに対する中小企業者の有力な政策要求運動団体」(三井逸友著「中小企業政策と「中小企業憲章」-日欧比較の21世紀」花伝社2011年、391頁)です。

会員には国別の組織と産業(セクター)別の組織があり、財政は1800万€(年間?)、会費制で基本的にボランタリーベースだそうです。

ヘンドリックスさんは、タバコ業界なんかロビー活動に一晩で700万€も使うんだよ!と熱くボヤいていました。

日本でいうと、中央会(全国中小企業団体中央会)の国際連携版みたいな感じですが、組織構造は似ていても、行政や政府に対する態度はだいぶ違うようです。

 

欧州の中小企業全体約2400万社のうち、93%はマイクロ企業(従業員10~50人)、また、半数は従業員のいない1人企業、なのだそうです。平均従業員数は5人です。欧州北部には大きい企業が多く、南部はほとんどが小さい企業、と、北大南小の傾向にあるそうです。

中小企業が99.8%とは、日本と全く同じ状況です。半数が一人企業というのも驚きでしょ?これは前回のレクチュアでも説明されたのですが、通訳さんも当方参加者も、何度も聞きなおしたところです。

それにしても、欧州全体の中小企業の半数に迫る組織率とは驚きです。これには、全国5万名会員を目指している我が中同協幹部も「50万でなきゃ!」と感嘆をもらしたくらいです。

 

ヘンドリックスさんのレクチュアのキイワードは、「European Social Partner としての役割」でした。「Social Partner」とは、社会が何らかの意思決定をする際に、議論に参加しうる資格を持ち、合理的な合意内容を形成するための役割を果たす義務を有する存在、とでもいう意味のようでした。

個別企業の労使関係に共通の欧州横断的な課題に関して、SMEunitedが中小企業SMEの立場を代表して、大企業組織であるBusinessEurope、や、トレードユニオン、公務員労働組合、などど対話、協議して、例えば、職場におけるストレス問題、などについて協定を合意する、そして、欧州レベルで合意された内容は、各国で実施される必要がある、とのことでした。

90年代終わり頃までは、SMEunitedもSocial Partnerとしての地位を確立できていませんでした。90年代終わりに、産休に関する協定に中小企業団体を関与させていなかったことを争った裁判を契機として、SMEunitedも努力し、欧州社会の受け止めも変わってきたといいます。

 

EUでは、小企業憲章にもとづく「欧州小企業議定書SBA」(2008年6月採択)には、憲章の精神である「Think small first原則」の具体化として、EUとして政策や法令の立案に際して中小企業に対する影響を予め把握・評価するための「中小企業テストSME test」が盛り込まれ、実施されています。

私はヘンドリックスさんに、Are you satisfied with SMEtest?SMEテストに満足していますか? と質問してみました。

ヘンドリックスさんの答えは、答えなきゃダメ?と前置きしたあとで、「No!」。

EU委員会の草案レベルではある態度配慮した内容でも、EU議会の議論にかかるとたちまち大企業に対するのと同じ規制を求められてしまうのだそうです。最近では、GTPR(EU一般データ保護規制)がその顕著な実例だそうです。中小企業の実情を表すデータが不足しているうえに、官僚や消費者の多くは中小企業の実情を知らないことが原因だそうです。

ここでヘンドリックスさんの口から出たのが「中小企業は大企業の盆栽ではない!」

むしろ中小企業を基に企業政策を考えていく方が、枝葉が豊かに伸びていくはず、と、行政と社会には発想の転換が必要、なことを強調しておられました。

 

最後に全員で記念写真を撮りました。

SMEunitedでも早速ホームページに記事を載せて下さいました。

https://smeunited.eu/news/fostering-eu-japanese-relations-for-smes

 

リュック・ヘンドリックスさん、

またお会いできる日を楽しみにしていま~す!

 


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