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2019年11月13日

「人権デューディリジェンス(人権DD)」知ってますか?

1990年代、私が弁護士になった頃、大企業が自国の労働法規制や環境保護規制の強化を嫌い、より規制の甘い、いわゆる発展途上国へと事業を拡大し、現地での自然環境破壊、低賃金長時間労働、が問題となっていました。

2000年、国連事務総長コフィ・アナンの呼びかけにより、国連グローバルコンパクトが設立され、その後、事務総長特別代表に就任したジョン・ラギー教授(ハーバード大)によってまとめ上げられた報告書が、2011年、「ビジネスと人権に関する国連指導原則(UNGP)」として国連人権理事会において承認されました。

(国連広報センターのサイト↓)https://www.unic.or.jp/texts_audiovisual/resolutions_reports/hr_council/ga_regular_session/3404/

 

内容は、次の3つです。

Ⅰ 人権を保護する国家の義務

Ⅱ 人権を尊重する企業の責任

Ⅲ 救済へのアクセス

 

「ビジネスと人権に関する国連指導原則(UNGP)」の実践を進めるため国別行動計画の策定が各国で進められています。2013年から、英国、イタリア、オランダ、ノルウェー、米国、ドイツ、フランス、など20か国以上がすでに行動計画を公表しています。

日本も現在、策定作業を進めており、2020年前半に行動計画原案、同年半ばに行動計画公表を目指しているそうです。

(外務省サイト↓)

https://www.mofa.go.jp/mofaj/fp/hr_ha/page22_001608.html

 

「ビジネスと人権に関する国連指導原則(UNGP)」の「Ⅱ 人権を尊重する企業の責任」には、「人権デュー・ディリジェンス 17.」が次のように明記されています。

『人権への負の影響を特定し、防止し、軽減し、そしてどのように対処するかということに責任をもつために、企業は人権デュー・ディリジェンスを実行すべきである。そのプロセスは、実際のまたは潜在的な人権への影響を考量評価すること、その結論を取り入れ実行すること、それに対する反応を追跡検証すること、及びどのようにこの影響に対処するかについて知らせることを含むべきである。 人権デュー・ディリジェンスは、

a 企業がその企業活動を通じて引き起こしあるいは助長し、またはその取引関係によって企業の事業、商品またはサービスに直接関係する人権への負の影響を対象とすべきである。

b 企業の規模、人権の負の影響についてのリスク、及び事業の性質並びに状況によってその複雑さも異なる。

c 企業の事業や事業の状況の進展に伴い、人権リスクが時とともに変りうることを認識したうえで、継続的に行われるべきである。』

 

この引用だけでは判りにくいですが、人権DDとは具体的にいうと、サプライ(バリュー)チェーンも含め、奴隷的労働、児童労働、ジェンダー、紛争鉱物、環境破壊、などのリスクを特定したうえ、それを是正するための具体的かつ継続的な手続です。

 

今年9月末の中同協欧州視察で訪問した在欧日系ビジネス協議会では、在欧日系企業にとっても人権DD 義務化の波が目前に迫っている印象を受けました。

EU加盟国ではすでに、人権DD義務化の法制化が進んでいます。2015年に「英国現代奴隷法」が情報開示規制を、2017年にフランスが「デュ―ディリジェンス法」、2016年にドイツは国家行動計画で、いずれも人権DDの義務化を、2019年にオランダが「児童労働デュ―ディリジェンス法」で人権DDの報告義務を、それぞれ規定しました。

 

中小企業の人権DDに対するスタンスとしては、自社における人権尊重責務、という側面と、サプライ(バリュー)チェーンとして取引先大企業から求められる側面、の二面性があると思います。

自社における人権尊重責務に関しては、働き方改革や労働環境など従業員の人権もありますが、もちろん、ご自身の「人間らしい生活」も大切にしてくださいね。

また、取引先大企業に対しては、自社の従業員に「人間らしい」生活を保障できるような取引条件(値段や納期)が大前提であることを、きちんと主張することが大切だと思います。

「そんなこと言ったら切られるかも・・」そんな心配は過去のものになりつつある時代のようです。

 

 

 

 


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