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2019年12月26日

改正民法 「定型約款」

いよいよ来年4月から改正民法(債権法)が施行されます。

当事務所で「取引基本契約書」など作成いただいた顧問先さまには、年明けから順次、御連絡を差し上げますね。

 

今回の改正でまったく新しく新設されたのが「定型約款」(548条の2~)です。

「定型約款」に該当するとされるは、次のようなものです。

・鉄道の旅客運送取引における運送約款

・宅配便契約における運送約款

・電気供給契約における電気供給約款

・普通預金取引における普通預金規定

・保険取引における保険約款

・インターネットを通じた物品売買における購入約款

・インターネットサイトの利用取引における利用約款

・市販のコンピューターソフトのライセンス契約

「定型約款」該当性に議論があるものは、

・銀行取引約定書

・住宅ローン契約書

などです。

 

「契約」とは、当事者が自由意思に基づいて交渉した結果の合意なので、一つ一つ内容が異なるのが基本です。これは現在も維持されています。

ただ、経済社会が発展して、不特定多数を相手に定型的サービスを提供する事業者が現れ、定式化された契約条項の総体(すなわち「約款」)が用いられるようになりました。このような約款は事業者が一方的に作成し、不特定多数の利用者(いわば消費者)は、サービスが利用したければ、その約款を承諾せざるを得ません。このような「約款」に「契約」としての効力をそのまま認めて良いのか?「約款」を認める必要性と規制する必要性が共に在りました。

そこで、今回の民法改正では、「約款」について、「定型約款」という概念と定義づけを新設して、一定の要件の下に、定型的画一的取引態様としての約款の存在を認めるとともに、それに対する規制や性質付けをしたわけです。

 

「定型約款」として認められるには、「定型取引」であることが前提です。

定型取引とは、特定の者(事業者)が不特定多数の者(大衆・消費者)を相手とする取引であって、契約の内容を画一的にすることが事業者にとっても大衆・消費者にとっても合理的といえるような取引です。

そして、事業者の約款が「定型約款」として契約の効力を認められるには、

(1)相手である大衆・消費者もその約款で契約することに合意したとき、

(2)事前にその約款を相手となる大衆・消費者が認識可能なように表示していたとき、

のいずれかが必要です。

 

但し、定型約款のうちに、

(1)大衆・消費者の権利を制限、または、義務を加重する条項で

(2)信義則に違反するもの

があれば、その条項は契約としての効力を認められません。

これはもともと、不意打ち条項規制と不当条項規制として議論されていたのですが、合わせて一本化されました。

 

また、事業者には定型約款の開示義務が課せられました。

事前にサービスを利用しようとする大衆・消費者から定型約款の開示請求があったのに拒否した場合は、その相手との関係で定型約款を契約の内容とすることはできません。

 

今回新設された定型約款の規定で特徴的なのは、事業者による一方的変更を、一定の要件の下で認めたことです。

変更が認められる要件は、次のとおりです。

<実体要件>

(1)相手方(大衆・消費者)の一般の利益に適合するとき

(2)契約目的に反せず、変更の必要性や変更内容の相当性など変更が合理的であること

<手続要件>

効力発生時期を定め、変更の内容や時期を周知

 

ここで、「事業者は自由に約款を変更できる」との条項を最初から入れておいたらいいじゃん!と思った方、貴方は賢い、ですが、無理です。このような条項は不当条項として無効になります。

事業者による一方的変更はあくまで例外的に認められるもので、厳格に運用されます。

 

ネット通販やネットサービスを行っている事業者の方は、来年4月までに自社の約款を見直すようにして下さい。

定型約款に関しては、附則で、施行日前に締結された約款にも改正民法の規定を適用することが原則とされています。

 

 


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