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2020年1月21日

オーナー経営者は自社株の後継者承継に遺言書を

 

問題です。

A社の株式1000株は、現社長A氏が保有しています。

A氏には、妻Cと長男B、長女Dがいます。

長男BはA社に入社していて、A氏の後継者(次期社長)になっています。妻Cと長女Dは、A社の経営に関与していません。

A氏が突然亡くなった場合(遺言無し)、 長男BのA社株式の持分は、次のどちらでしょうか?

1)250株

2)1000株の4分の1

 

正解は、2)1000株の4分の1です。

「同じじゃないの?」と思われた方、同じではありません。

厳密に言うと、4分の1株が1000個、です。

 

被相続人が遺言せず亡くなった場合、遺産は、法定相続分による共有となります(民法898条)。

株式は、均等割りされた「株主たる地位」なので、一株をさらに分けることは原則できません。

この点、お金(現金)は、紙幣や硬貨の単位に関わらず「価値」なので、どこまでも分けることができます。

例えば、遺産が10坪の土地100筆だった場合、長男Bの持分が4分の1だからといって、25筆に特定できないことを考えれば、お分りいただけるかもしれません。

つまり、オーナー社長が遺言せず亡くなった場合、その保有株式は全部の株式一株一株がそれぞれ法定相続分で法定相続人に共有される状態になるわけです。

 

会社法は第106条で、株式の共有者は、その株式について権利を行使する者1人を定めて会社に通知しなければならず、その1人(権利行使者)しか株主として権利行使できない、と規定しています。

 

この権利行使者の決め方については、株主としての権利行使は共有物の管理行為にあたる(下級審判例)として、民法の共有物管理の規定(252条)により、持分の価格に従った過半数で決することになります。

ただ、中小企業の支配株式の共同相続の場合に、権利行使者の決定を共有物の管理行為と見ることに反対する有力学説もあります。

 

いずれにせよ、後継者である長男Bは、少なくとも母Cの同意が得られなければ、A社の株式について一株も権利行使できないことになります。

このような経営の空白を生じさせることは、中小企業にとって致命傷にもなりかねません。

オーナー経営者の皆様は是非、保有する自社株式について公正証書遺言をしておかれることを強くお勧めします。

 

遺言による自社株承継の場合、注意すべきは遺留分の侵害です。他の相続人にもその遺留分を侵害しない程度の遺産を遺せれば理想ですが、それが無理であっても、自社株式の後継者への遺言承継をしておく価値はあります。

一昨年7月に改正され、昨年7月から施行された(新)相続法(民法1046条)は、遺留分減殺請求を従来の物権的効果から金銭債権化に変更しました。これにより、遺留分侵害分に相当する自社株式も遺言どおり後継者に確保され、そのうえで後は金銭解決に委ねられるようになりました。

なお、上記改正により、法定相続分を超える部分には、対抗要件(株券交付、名義書き換え)も必要になりました(民法899条の2)。

 

オーナー経営者と後継者にとって最大関心事は「相続税」だと思います。

事業承継税制の適用を受けるには、経営承継円滑化法による特例承継計画を都道府県に提出して確認を受ける必要があります。

この「特例承継計画」は2023年3月31日までが提出期限です。これ以降は受理されません。

大阪府のサイトは↓

http://www.pref.osaka.lg.jp/keieishien/keieisyoukeienkatuka/tokureisyo.html

自社株式の株評価が上がって相続税が心配という経営者さんは、お急ぎくださいね。

 

 

 

 

 


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