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2020年3月10日

新型コロナウイルス対策「緊急事態宣言」の問題点

 

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、政府は「新型インフルエンザ等対策特別措置法」(新型インフル特措法)を改正して、「緊急事態宣言」を発令できるようにしようとしています。

これを法律的にみるとどういうことなのか?

ちょっと調べてみました。

 

感染症対策の基本的な法律は、1998年に制定された「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(感染症法)です。

政府は先月初め、WHOの緊急事態宣言を受け、新型コロナウイルスを感染症法の「指定感染症」に指定しました。

「指定感染症」とは「既に知られている感染性の疾病(一類感染症、二類感染症、三類感染症及び新型インフルエンザ等感染症を除く。)であって、第三章から第七章までの規定の全部又は一部を準用しなければ、当該疾病のまん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあるものとして政令で定めるものをいう。」と定義されています(同法第6条第8項)。コロナウイルスは既知のウイルスだったので、これに該当したのだそうです。

感染症法の第四章には「就業制限(第18条)」「入院(第19条)、第五章には「消毒(第27条)」「物件に係る措置(第29条)」「生活用水の使用制限等(第31条)」「建物に係る措置(第32条)」「交通の制限又は遮断(第33条)」、などが規定されています。第七章は新型インフルエンザ等感染症に関するものですが、「緊急事態宣言」の規定は在りません。

 

2012年に感染症法の特別措置法として制定されたのが「新型インフルエンザ等対策特別措置法」です。この第四章に「新型インフルエンザ等緊急事態措置」が規定されています。

今回、新型コロナウイルスは感染症法「指定感染症」に指定されたため、「新型インフルエンザ等感染症」ではなく、特措法の適用はできないと解されていたようです。

ただ、新型インフルエンザ「等」なので適用の余地があるとしても、そもそも「新型インフル特措法」は、制定当時から、重大な人権侵害リスクの問題が指摘されていました。

同法の成立に際しては、19項目もの附帯決議が為されましたし、

https://www.sangiin.go.jp/japanese/gianjoho/ketsugi/180/f063_042401.pdf

日弁連も反対の会長声明を出していました。

https://www.nichibenren.or.jp/document/statement/year/2012/120322.html

 

新型インフル特措法の緊急事態宣言や措置の問題点は、

1)「緊急事態」の認定が内閣総理大臣に任されている(専門家の意見や科学的根拠が要求されない)

2)国会には事後「報告」で良い(事前「承認」原則ですよね)

3)最長期間が2年と長いこと(先ずは6か月くらいですよね)

4)私権制限の必要最小限規定が無く(感染症法には在ります)救済制度規定も無い

 

私権制限の規定としては、「発生時における措置」に

・検疫のための特定病院の強制使用(第29条)

・医療関係者に対する医療指示(第31条)

などがあり、

緊急事態宣言が出された後の「まん延の防止に関する措置」として、

・感染防止のための施設管理者等に対する使用制限や停止(第45条)

「医療等の提供体制の確保に関する措置」として、

・臨時医療施設開設のための土地の強制使用(第49条)

「国民生活及び国民経済の安定に関する措置」として、

・緊急物資の運送(第54条)

・物資の売渡し要請・収用(第55条)

などが規定されています。

 

ニュースを見るたびに感染者数が増えていき、だんだん身近に迫ってくると不安ですよね。一刻も早く、合理的で有効な対策を打ってほしいと願っています。

ただ、法的根拠のない「全国学校一斉休校要請」や「マスク転売禁止!」などの政府の対応を見るにつけ、「緊急事態」と言われると、安倍総理が憲法改正で拘っていた「緊急事態条項」を思い出だしてしまいます。

 

すでに「新型インフル特措法」改正案が閣議決定され、今週中にも国会で成立予定とされていますが、「緊急事態宣言」の発令には、科学的根拠と国会承認は、ぜひとも要件としてほしいです。

なお、今回も「附帯決議」で妥協するようですが、「附帯決議」には何の法的効力もありません。

 

 

 


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