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2020年3月11日

経営リスク(新型コロナウイルス)対策の法的考え方

 

皆さまの会社でも、新型コロナウイルス感染防止のための対策を講じておられることと思います。

厚生労働省も下記専門サイトを開設して、日々更新しています。

「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.html#Q2-1

これを読んで理解していただく前提知識として有用な、基本的な法律の考え方をご紹介しますね。

 

企業の経営リスクを考える場合、大きく分けて、従業員との労使関係、仕入先や顧客との取引関係、があると思います。

いずれも、労使関係は「労働契約」、取引関係は「取引契約」、いずれも「契約」です。

 

労働契約の場合、労働者の契約上の債務である「労働の提供」は、労働者の人格や生身の肉体と不可避に結びついています。そのため使用者には、労働者が健康で安全に労働の提供ができるよう職場環境を整備する義務、「安全配慮義務」があるとされています。

 

新型コロナウイルスの感染が拡大している今、使用者は先ず、新型コロナウイルス対策を策定し、適切な健康管理体制を実施することが必要です。産業医がおられれば、その意見も取り入れてください。

 

従業員を休業させる場合、労働基準法第26条の休業手当(6割)が問題となります。

(休業手当)

第二十六条 使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。

 

契約一般における「使用者の責めに帰すべき事由」の場合は、民法第536条の危険負担によります。

(債務者の危険負担等)

第五百三十六条 当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができる。

2 債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができない。この場合において、債務者は、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならない。

 

使用者の「責に帰すべき事由」について、労基法は労働者の生活保障の観点から、民法より広く解されています。

 

新型コロナウイルスに関連した事業継続障害であっても、それが天災事変などと同視しうる不可抗力(例えば、行政命令による事業停止)で、通常一般には予見不可能な程度のものであれば、民法第536条1項の危険負担により、休業中の賃金支払義務を免れますが、その原因が使用者の支配領域に近いところから発生していて、他方で労働者の生活保障の必要が認められる場合には、労基法第26条による休業手当(6割)の支払義務が認められ、さらには、その事態を招いたことに使用者の支払領域における可能な回避義務の懈怠(例えば、取引先の分散)が認められるような場合には、賃金全額の支払義務、が認められる可能性が十分にあると考えてください。

 

取引先との取引障害についても、その不履行(納期遅れ、納品不能、など)の原因が「当事者双方の責めに帰することができない事由」(民法第536条第1項)なのか、どちらか一方当事者の「責に帰すべき事由」に拠るのか、で考えていくことになります。

 

ところで、企業法務の専門誌NBLの商事法務から、災害復興支援に熱心に取り組んでおられる中野明安弁護士が2009年当時の新型インフルエンザの流行に際し事業者としての対応をQ&A方式でまとめられた論考が公開されています。

https://wp.shojihomu.co.jp/archives/41738

こちらも参考になさってください。

 

 

 


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